今日から2泊3日の特進組合宿。

今後の学校の行事や方針を決めるための合宿・・・・っていうのは表向きで実際はほとんど遊び。

テント張ったり飯ごう炊さんしたりする、本格的なキャンプだ。

毎年2年がやるらしい。







今年1番のノリ気は香取先生。





「はーい、じゃあ班分けを発表しまーす!1班、阿部・上原・小堤・天城・根岸・藤代 2班、佐藤・風祭......
5班、 ・黒川・桜庭・真田。以上です!それぞれ用意を取りに来て下さーい。」








・・・・・今、俺の班の中に聞いてはいけないものを聞いた気がするんですが。








「奇遇だね、 と同じ班だよ。これはもう必然と言うべきかな。」

「ギャー!!出た変態英士ーー!!」







いきなり音もなく俺の横に現れた英士。別名変態キムチ。


今日から2日間英士と一緒に過ごすなんて絶対嫌だっ!!








「照れることないでしょ。まったく可愛いなぁ は。」







どこをどう捉えたら拒絶が照れに聞こえるんだ。

とにかく一刻も早く英士から離れなければ・・・・。







そういえば、同じ班の中に・・・・・・











「か、一馬ぁ〜〜〜!!!」

「ぅおっ!?ど、どうした ・・・;」







一馬もいた事を思い出し、ダッシュで駆け寄り飛びつく。










「俺この班嫌だ〜〜〜・・・。」

「え?あぁ・・・英士か。」

俺の云わんとしている事が分かる一馬。流石。















「一馬・・・。俺の をいつまで抱きしめてる気・・・?」

「え、英士・・・;」

「一馬!俺を見捨てたりしないよなっ!?」

・・・・;」

「一馬、後でトイレ裏ね。」

「一馬ぁ〜〜〜。」

「・・・・・ゴメン 。俺も命が惜しい。」

「あぁ〜〜〜っ!一馬の裏切り者ー!ヘタレリンゴカッペーー!!」

俺はそう叫びながら走り出す。

ショックを受けて立ちつくす一馬なんかこの際見なかったことにするさ!










グイッ









「うわぁっ!?」

いきなり後ろから襟足を引っ張られて倒れ込む。

「いってぇ・・・。」

俺かなり派手なコケ方をしたと思う。

全身打ち身?打撲?ちょっと、怪我しちゃったらどうしてくれるんだ。

って、ちょっとやそっとで怪我するほど柔な体してないけどさ。



俺は倒れた姿勢のままクルッと反対に回り、後ろを向く。

そこには色黒のヤツが色々と道具を持って立っていた。

「ちょっと黒いのー。いきなり引っ張んなよー。」

「お前が遊び回ってるからだ。」

「遊び回ってないし!命の危機から逃げてただけ!」

「同じようなもんじゃねぇか。」

「違ーう!」

「分かった分かった。いいから手伝え。」

「ん?何を?」

「テント張り。」

「あっ、それテント用具!?」

「・・・お前何聞いてたんだ・・・?」

「いや、逃げるのに必死で聞いてない・・・。」

「・・・・っはぁ。」

「ため息付いたら幸せ逃げるぞー。」

「誰の所為だよ。」




・・・俺の所為?




「まーまー。じゃ、作ろうぜ!」

「作り方分かってるか?」

「全然(即答)」

「はぁ・・・・。」

「だから幸せ逃げるってー。」

「だから誰の所為だよ。」








黒いの、さっきからため息つきっぱなし。

俺そんな疲れさせてる事してないのになー?











俺たちはテントを張る場所へと移動する。

そこには5班あるうちの3班のテントは出来上がっていた。

もう1つの班もそろそろ出来上がり。







駄目じゃん、俺ら。








「なー、黒いのー。」

「黒川。」

「ん??」

「黒いのじゃねぇよ、黒川だ。」

「黒いのにピッタリな名字だな!」

「そりゃどうも。」

「で、黒川。これどうすんの?」

「あぁ、これはこうやって・・・。」

「こうか?」

「違ぇよ、だからこうやって・・・なんでそうなるんだよ!?」

「だってこうなったら・・・・アレ?」

「アレじゃねぇって、なんで杭が変な方向に折れ曲がってるんだ!?」

「うん。ゴメン。」

「はぁ・・・・。お前もう触るな。」

「えー。」

「いつまで経っても終わんねぇだろ・・・。」





いやまぁ、確かに俺が触ったところは尽く(ことごと)壊していったけど。

俺も頑張ったのになぁ。あれは絶対テントの方が悪いんだ。

とりあえず、作るのは黒川に止められたから眺めることにした。






「手際良いんだな。」

「アウトドアとか、趣味だからな。」

「へぇー。」

一人で作ってんのに、他の班よりも綺麗に出来上がっていく。

そういえば、この班にもう1人いた気がするんだけど・・・。

確か5人班だし。







「この後の予定表もらってきたぜー。」

「あぁ、サンキュ。桜庭。」

「あー!桜庭!!」

「え?俺、初めて会ったと思うんだけど?」

「いやそうなんだけどさ。ヒヨコ氏から桜庭の事聞いてたし。」

「「ヒヨコ氏?」」

「そ。上原の事。」

「あー、はいはい。成る程。ヒヨコみたいだよな。」

「おっ、桜庭もそう思う!?」

「思う思う。」

「よーっし。じゃあ今から桜庭も『上原をヒヨコと呼ぼう会』会員だ。」

「何だよそれ!?(笑)」

「だから、お前ら手伝えって。あ、でも は手伝うな。」








数分後、完璧に仕上げられたテントの前で俺と桜庭はとりあえず拍手しておいた。











お疲れ、黒川。




 目次 
***あとがき***
黒川君と桜庭君登場♪
相変わらず口調分かりません・・・。
なんとなく分かってるつもりなんですけど、
いざ書いてみると誰だコレ。

2006.6.19