俺は今何でこんな所にいるんだろう・・・。




事の起こりは・・・えーっと、何時間前だっけ。

もう思い出せないくらいずっと前。

1時間目、俺のクラスは香取先生の英語だった。

授業が終わった後、俺は香取先生から呼び出しをくらった。

って言っても職員室とか会議室に呼ばれたんじゃなくて、教卓の前に、だけど。

「何ですか?」

君、さっき寝てたわよね?」

「・・・・いや、気のせいっしょ。」

「いーえ。私はこの目でちゃんと見ましたからね。というわけで、さっき集めたこのワーク
を職員室に運んでちょうだい。」

「えーー!?そんなの英・・・」

語係にやらせれば良いじゃないですか、って言葉を言い終わるまでに香取先生は俺の腕の中に
ドサッとワークを乗せ、「じゃ、よろしくね!」と効果音が付けば「シュンッ」って感じの勢いで行ってしまった。




なんて逃げ足の速い先生だ。

いや、逃げたというか逃げたわけじゃないけどでも逃げたに近いような気もしなくもなく・・・。

・・・そんな事はどうでも良いんだけど。

現時点で香取先生はいないわけだし、ワークは俺の腕の中にあるわけだし。

無駄な事を考えるのはよそう。うん。俺は学習した。

とりあえず今の問題は誰に手伝わせるか、だ。




将は・・・あーー、駄目だな。次の雨宮先生の社会の宿題やり忘れてたみたいだ。

必死に問題解いてるよ。

まぁ、人のを写さないって所がアイツらしいけど。



じゃ、天城・・・・・・・っていねぇし。

あ、そう言えば松下先生に呼ばれてたっけな。忙しいねー、クラス委員。

てことで無理っと。



一馬ー。一馬はいるよなー。最後の頼みの綱ー。

・・・・あぁそうですか。生徒会関係で出てるんですか。

今現在不在ですかそうですか。







しょうがない。一人で持って行こう。












で、迷ったわけだ。


だってな、俺まだ職員室の場所知らないんだよ。

寧ろ門から教室と教室から寮までの道しか知らないんだよ!!

転校してきて日が浅い生徒にそんな事頼むなよな、香取先生。




それより、今何時だろう。

俺の記憶では既に6回のチャイムを聞いた。

と、いうことは・・・・今はお昼時か。どうりで腹が空くわけだ。


「お腹が空いて動けなーい。助けてア○パ○マーン。

お礼に一馬のリンゴジュースあげるからー。」


・・・・・・



・・・・・・



・・・・・・


・・・・ツッコミ入れてもらえないって案外、っていうかかなり悲しいもんだな。



「あーもー疲れたぁ。」

体力的にも、精神的にも。

俺は中庭のベンチに倒れ込む。ワークは枕代わりだ。

何で中庭にいるのかって?外から探した方が早いと思って。

あ、今何で外なんかに出るんだよ、とか思っただろ。

俺も今思ってるけどさ。




このまま職員室にたどり着けなくて寮にも戻れなくてここで遭難しちゃったらどうしよう。

死ぬ前にもう1度あのコンビニの肉まんが食べたい。



未練が何個あるか数えていたらあまりにも多すぎて、精神的ショックだけで三途の川渡りそうになったとき、
向こうの方から人の話し声が聞こえてきた。





「あーぁ。ノリックのせいでコーラ売り切れたやん。」

「そんなん知らんしー。世の中早いモン勝ちやで。まぁー、藤村の日頃の行いが悪いからやね。」

「日頃の行い悪いなんかノリックに言われたないなぁ。」

「僕のどこが日頃の行い悪いねん。めっちゃ世間様に貢献してるやん。」

「何で。」

「笑顔で。」

「マ○ド○ルドの店員かい!!」

「スマイル120円です。」

「高いわっ!!」



・・・・あぁ、漫才師か。この学校には色んな人がいるんだなー。


「あれ、あんさんこないな所で何しよるん?」

「しかも英語ワーク持って。オーイ、生きとるー?」

「いや、死んでる・・・。」

「そうなんかー。藤村、この人死んでるんやって。」

「ご愁傷様やなー。後で十字架持ってったるわ。」

「あれ、自分キリストやっけ?」

「いや、仏さんやで。」

「ほな線香やん。」

「ちょっと待て、勝手に殺すなよ・・・。」

際限なく繰り広げられる漫才を聞いていた俺は、むくりと体を起こした。

このときに初めてこの1人の姿を見たんだけど。

・・・・あれ、笛中の制服着てるじゃん。

なんだ、漫才師じゃないのか。それとも漫才同好会とか?

「えー、だってさっき、自分死んでるって言ったやん。」

「ものの例えだよ例え!」

「なんやてっきり・・・って、それは良いとして自分見ぃひん顔やね。」

「まぁ、そりゃあ・・・」

「あっ、こないだ転校しってった人やろ?」

「そうそう。なんでか特進組。」

「凄いやん!転校生が特進組って。よっぽど頭えぇんやね。」

「さぁ、どうだろ。テストは2位だったけど。」

「・・・・・・・ちょっと聞きました?藤村さん。」

「聞きましたよ吉田さん。ワタシ達には到底行けない所ですね。」

「ですね。」

「そんな2人してボケられてもツッコミ難しいから・・・!」

「アカンなー。ここはビシッと入れてもらわんと。」


面白い人たちだ。関西人ってみんなこんなノテンション高いのか?

そういえば、色々転校してきたけど関西人と話たの初めてかもしれない。

だから新鮮に感じるわけだ。生の漫才。

「せやせや。自己紹介まだやったな。俺は藤村成樹っちゅーにゃけど、シゲでえぇから。」

「僕は吉田光徳言いますー。よろしゅうv」

「このホワホワしたヤツの事はノリックって呼んだってな。」

「シゲとノリックな。俺は って呼んで。よろしく!!(ニコ)」

「・・・ポチみたいな笑い方するやっちゃ。」

俺が2人に笑いかけると、金髪の方−シゲ−がポツリと呟いた。

ポチって誰?っていうか犬?俺犬と同じ!?






「で、 は何しとったん?」

「迷った。」

「どこ行くのに?」

「職員室。」

「「・・・・・何で中庭?」」

「いや、それは聞かないでくれ。」







 目次 
****あとがき****
私関西人なんですけど、正しい関西弁の書き方が
分かりません。
若干方言とか入ってるかもしれませんがスルーでお願いします。
てか、テンション低い時に書いたんで内容薄すぎですね;
この連載、いつか近いうちに絶対ゴミ箱行きになるよ。





2006.5.11