が元気になるまで、俺はずっと一緒にいるから。
が元気になっても、俺はずっと一緒にいるから。














○●つかの間の休息













を病院に連れて行った。
その間、ずっと俺は の手を握っていた。
身体がこれ以上冷えないように、制服を肩からかけて。
そしたら 、初めての制服だって笑うんだ。


だから、

「元気になったら立海大の制服着て、二人で写真撮ろうぜぃ。」

約束した。
は「うん。」って、良い笑顔で頷いた。








病院に着くと、 のお母さんは泣きながら を抱きしめていた。
は「ごめんなさい」と何度も呟いていた。
俺はそんな様子を少し離れた所から見守る。





は身体の検査の為に治療室へ向かった。
俺は最後まで の手を離さなかったけど、 も俺の手を離さなかった。



「じゃあ、後でな。」
「うん。」



離れていく手の熱を名残惜しく思いながら、治療室の扉が閉まるのを見る。
俺はこれから毎日だって に会いに来よう。







テスト?
・・・・・最初から追試狙いで。
























!身体起こして良いのか!?」

俺が病室に行くと、 は身体を起こしてベッドの背にもたれ掛かり本を読んでいた。

「大丈夫だよ。今日早いね、学校は?」
「昨日からテスト。」
「テスト・・・って、難しい?」
「まぁなぁ。流石名門私立っつーか、教科数も多いし。しかも今回期末だし。」
「テスト用紙ある?」
「確か・・・鞄に突っ込んだような・・・あ、コレ。」

出てきた問題用紙は、鞄の中の物に挟まれて悲惨な姿になっていた。
しかもちょっと破れてる。

「もっと丁寧に扱おうよ〜。」

呆れ声の に、俺はちょっと恥ずかしくなる。

「良いだろぃ別に!もう使わねぇんだし。」
「使わないの?じゃあ、それ私にちょうだい。」
「テスト用紙?別に良いけど、何に使うんだよ?」
「私も解くの!」

にテスト用紙を手渡す。
ちなみに教科は理科。
まさか自分も解く、なんて言い出すと思わなかったからちょっと吃驚した。

「え〜、 には無理だろぃ。」
「そんなの分かんないもん。」
「じゃあまた答え合わせしてやるよ。明明後日には答案用紙返ってくるだろうし。」
「うん、頑張る!」
「無理すんなよ。」
「大丈夫、明明後日に解き終わるようにするから。」





渡した理科のテスト問題。
俺は約束通りに3日後に答え合わせをした。


「・・・・・。」
「何点?あ、93点。コレって良いの?」
「いや、良いの?ってめちゃくちゃ良いんだけど!何で こんな点数取れんの!?」
「だってちゃんと勉強してるもん。ブンちゃんはどうだったの?」
「え、俺は・・・・まぁ。」
「あ、もしかして私より悪かった?」


イタズラっぽく笑う 。俺はちょっと悔しい。
何だってずっと入院してる がこんなに頭良いんだ。
勉強してるったって、独学なのにさ。


「だって俺理科あんま好きくないし。」

言い訳にすぎないけど。
国語だったら勝ってた自信あったな。うん。

ちょっとふて腐れた俺に、 は沈んだ声で俺に言った。

「・・・・もしかして、ずっとお見舞い来てくれてたから勉強出来なかった?」


急にしゅんとする の頭に、ポンと手を置く。


「別に気にすんなよ。どーせ理科は最初っから追試狙いだし。」
「でも・・・・。」
「だぁから! が気にすんのは自分の身体だけで良いんだって!」


俺が笑顔で言うと、ちょっとためらいがちに も笑顔になった。


「ね、ブンちゃん。」
「どした?」



「私ね、手術受ける事にしたの。」










2007.1.4