「探せって言われてもなぁ・・・。」










宝探し






ここは武蔵森中等部。
文化祭が終わり、今は打ち上げの真っ最中。それはどこのクラスも例外なく。もちろん、私のクラスも。
今行われているのは宝探しと称した告白大会。
でもただの告白大会じゃない。
事前に調査された女子対象の「告白したい人がいるか・否か」のアンケートに基づき、「いる」と答えた人の名前が書かれた紙が、教室のどこかに隠されてい る。
自分の名前が書かれた紙を見つけた人が、好きな人に告白出来るというもの。
紙を見つけたら誰にも反対されず、たとえファンクラブがいようとも反論されない。
まぁ、告白した相手にOKをもらえるかどうかは別だけど。
逆を言えば、紙を見つけられなかったらその人は好きな人に告白出来ないのだった。
私は「いない」と答えたはずなのに、誰かの(いや、私の友達の)陰謀で紙を探す羽目になってしまった。




好きな人




なのか、どうか。私にもいまいちよく分からない。
好きか否かと聞かれれば好きだけど、これって恋愛感情?






二人の、幼馴染み。
どっちかを選べと言われても、どっちも選べない。
同じぐらい大切で、大好きな私の幼馴染み。



中西秀二  と  根岸靖人















〜、見つかった〜?」
「んーん。全然。」
「早くしないと時間切れになっちゃうって!」
「そんな事言われたって、別に告白したい人がいるわけじゃないもん。」
「分かってるわよそんな事。」
「じゃあ何で!」
「告白大会裏情報。告白したい人がいないのに紙を隠された場合、あなたに告白したいと思っている人がいます。」
「はい?」
「と言うわけで、見つけてあげないとその人は に告白出来ないのよ〜。それじゃ、頑張ってv」
「ちょっと・・・・!!」






しまった。告白大会の主催はあの子だった。
恋愛事好きだもんね。
今すっごい楽しいんだろうね・・・!!










「はぁ・・。そんな事言ってもなぁ、あんな小さな紙・・・・・ん?」
探し疲れて座った椅子の背もたれに小さな紙が挟まっているのが見えた。
抜き取って開いてみると、そこに書かれていたのは「 」私の名前だった。
「え、見つけちゃっ「はい!!探し時間終了ーー!!紙を見つけた人は私の所まで持ってきてくださーい!!」・・た。」







「・・・・・ま、いっか。」







一端教室を出るようにと指示がある。
嬉しそうな顔の多いこと。というか、皆見つけたんじゃないだろうか。
今から告白タイムなんだろうけどね。私は抜けさせてもらいます。















私は一人集団から抜けると、屋上へと向かう。






「良かった。屋上はどこのクラスも使ってなかったみたい。」
屋上は静かだった。
遠くからキャーキャーと高い声や、歓声が聞こえる。
こういう行事に無頓着な私はあんなハイテンションについて行けない。






壁にもたれて涼んでいると、カチャリと音がした。
誰かが屋上に来たんだ。せっかく一人だったのに。












、いる?」
「あ、なんだ靖人と秀二か。」
「なんだとは何。」
「いーや。煩い人が来たらどうしようかと思ってね。」
がここにいるという事は紙見つけられなかったって事かー。」
「見つけたよ、ホラ。」
私は握っていた紙を二人に見せる。
靖人は苦笑いし、秀二はため息をついた。



ちょっと、私何か悪いことでもしましたか?



「お前なぁ・・・。」
「え?何?」
「紙出さないと、 に告白したいって思ってるヤツが困るのに。」
「私は困らないもん。てか、そんな人いる訳ないでしょ。絶対嘘だ。」
ならそう言うと思ったけどさぁ・・・。」
「何なの、二人とも。」






「別に。 はこの関係を壊したくないだろうから黙っておく。」
「まぁ、また少ししたら言うよ。」
「?」


「さてっと。そろそろ教室戻りますか。」
「えー。またあの煩いところ行くの?」
「もう告白大会は終わっただろ。ホラ、立つ!」
「はーい。」


私の右側に、秀二。左側に、靖人。
二人はそっと、私の手を握った。



それは何だか、とっても幸せな気分になって。
凄く、温かかった。




「秀二も靖人も大好き!!」
「「俺も」」




未だ気付かぬ、小さなコイゴコロ。








****あとがき****
っていう夢を見ました。
所々変えてあるけど。
ホントは中西&根岸が私をを屋上へ連れて行って「誕生日おめでとう」みたいな事言って、
どこかで並んでる時二人が手を繋いでくれるってヤツでした。
ヒロインの誕生日関係なんて書けへんよ;
でもこれ、ある意味ヒロイン罪多き女の子ですよね。
ま、気にしない気にしない。

2006.7.24