今日は河川敷で行われる夏1番の大きな花火大会。
私はまだ1度も現地で見たことがない。
友達曰く、カップルで賑わっていて、すっごく良いデートスポットなんだとか。
やっぱり、女の子として彼氏とそういう所行きたいと思うよね。
思う、んだけど・・・・






花火大会





「花火大会?」
「そう!!今日河川敷であるんだよ。行かない・・・?」
「ダルイ」
「そんな事言わずにー・・。」
「人多いじゃん。面倒。」





私の彼氏、設楽兵助は一向に「行く」と言ってくれません・・・。
サッカーにはすごく積極的なくせに、他の事に関しては全然やる気がない兵助。
いやでもさ、普通彼女が行きたいって言えば行ってくれても良いと思うんだけどな・・・。



「・・・・・。」
「浴衣。」
「え・・?」
が浴衣着るんだったら、行く。」
「ホント!?じゃあ着る!!6時に兵助の家もう1回来るからね!!」
「んー。」




兵助が、花火大会行くって言ってくれた!
その時の私は、すっごく笑顔だったと思う。


私は急いで家に帰ると、お母さんに着付けてもらう。
紺色に近い青の生地に、ウサギの柄が入っている浴衣。
赤い帯。それからちょっと大きな花の髪飾りを付ける。
折角だから、少しマニキュアとかも付けたり。
行くとは思わなかったけど(でも行くつもりだったけど)、浴衣に合う髪型を調べてたから、それを見ながら髪の毛を結わえていく。
普段やらないアップは難しくて・・・結構時間がかかった。
6時に家に行くって言ったのに、もう5時50分を過ぎている。
兵助の家まで歩いて15分。しかも今日浴衣着てるから早く歩けない・・・。
兵助は時間にルーズだけど、待たせるのってやっぱり嫌だしね。







「行ってきます!!」
「いってらっしゃい。気をつけてねー。」
どことなく嬉しそうなお母さんに挨拶をし、ちょっとこけそうになりながら玄関を出る。
するとそこには・・・・兵助がいた。










「兵助!?迎えに、来てくれたの・・・?」
、絶対こけそうだし。」
「そ、そんな事ないもん!」
「さっきこけそうになってた子は誰でしょうねー。」
「ぅ・・・・・・・私、です。」
「うん。素直でよろしい。」
二人でちょっと笑いあいながら歩いていく。
兵助はサッカーもあったし、(なにより本人はあんまり外へ行きたがらないから)デートをしたのこれが初めて。
いっつもお部屋デートばっかりだった。
まぁ、それでも私は兵助に会えるから良いんだけどね。
付き合って結構日にち経ってるのに初デートだから、ちょっと恥ずかしかった。













−−−−−−−−花火会場で




「兵助!夜店いっぱい出てるよ!!」
「人多・・・。」
「あっ、綿菓子食べたい!!私ちょっと買って・・・はわぁっ。」
「押さない駆けない走らない。 の浴衣は危険がいっぱい。俺が買ってくるからそこで待ってて。」
「は、はーい・・・・。」




結局兵助に買ってもらうことになっちゃった。
さっきから裾踏みまくり。
結構着崩れちゃった。
それにしても・・・人多いなぁ。



人多い・・・・・って、なんか、私人の波に流されてる・・・?
あ、ヤバイ・・・っ!!綿菓子の看板が見えなくなってるっ。



「へ、兵助・・・・っ。」


パシッ


「そこで待ってろって言ったろ。」

人の波に流されてる私の右手を、兵助が握ってくれた。
「良かった・・・っ、兵助とはぐれちゃうかと思った・・・・。」
「実際はぐれたけど。」
兵助に会えて安心した私は、少し涙ぐんでしまった。
ギュッと兵助の服の裾を握った私の頭を、ポンポンと軽く撫でてくれた兵助。
「髪の毛セットしたのに・・・。」
「細かいことは気にしない。」
「もぅ・・・。」







あと少しで花火が始まる。
人もどんどん増えてきた。
「ここの草の所座る?」
「浴衣が汚れる。折角似合ってるのに。」
「え、じゃ、じゃあどこ行く?」
「こっち、来て。」
兵助は、まだ私の手を握ってくれていた。
そのまま人の流れから抜け、少し坂を上っていく。
どこに行くのだろう、とか こんな奥の方で花火が見えるのかな、とか そんな事も思ったけど。
それよりも、兵助から「浴衣似合ってる」って言われたことがすっごくすっごく嬉しかった。




「座って。」
「うん・・・。」
兵助に言われて、坂の1番上の段差に座る。
その横に兵助が座った。




ヒューーーーッ   ドーンッッ




「うわぁ・・・っ!!」
「ここ、俺の穴場。」
「凄いっ!!すっごく綺麗に見える!!」
その場所は、前に障害物が何も無くて、本当に綺麗に花火が見える場所だった。

大きく花開く花火。下の方で勢いよく上がる仕掛け花火。
ここまで落ちてきそうな柳花火。
ナイアガラの滝みたいに、下へ下へ流れていく花火。
連続で勢いよく上がる沢山の花火達。





「来て、良かった。」
「・・・・・私もっ!!」




二人っきりで見る2時間の花火大会は、本当に、幸せな時間をくれました。









花火大会行って来たので、書こうと思った作品。
び、微妙・・・。
ちなみに誕生日夢じゃないけど誕生日作品。
黒髪じゃないけど兵助大好きだ!!

2006.8.7