ねぇ、翼。
今日何の日か分かってる?
とっても、とぉーーっても大事な日なんだよ?














●dear...

















昼休み。
翼は今、日直日誌を書いている。
私は翼の前の席の子の椅子を拝借して、後ろ向いて座ってた。
背もたれに手乗せて顎乗せて。





「つーばーさー。」
「何。」
「うわ、何その冷たい反応。愛しの彼女が呼んでるのに。」
「用事がないなら邪魔しないでくれる?今忙しいんだけど。」
「用事あるもん〜。」




さらさらと埋め尽くされていく文字達を見る。
字綺麗だよねー。男の子の字じゃないみたい。






「だから何。」



私は今椅子の背もたれに顔を乗せてるから、自然と翼の方が目線高くなって。





うわ、初めて翼から見下ろされちゃったよ。
私の方が背高いからいつもは私が見下ろしてるのにね☆




何て言ったら殺されるから言わないけど。









「今日放課後暇?」
「放課後?」


翼は一瞬書くのをやめ、少し考えて・・・・いるのかな?
いないのかな?どっち?


「・・・・・何もないからマサキ達とフットサルして帰る。」
「いやいやそこは彼女と帰るところでは!?」
「はいはい。おめでとう。」
「人ごとみたいに言うなーーーっ!!」



椅子をガタガタ言わしたら、翼の机に当たって文字がいがんでしまった。
あぁ、おきまりのマシンガントークが飴でもなくマメでもなく雨のごとく降り注がれていく・・・。
なんて詩人きどってる場合じゃないけど



両手で耳をふさいだら殴られた。



「ちょっと、これ以上バカになったらどうすんのさ!!」

「大丈夫。 はこれ以上バカになることはないから。」



あーそっかー良かったー・・・・・って全然良くないんですけど!?
何それ何かどさくさに紛れてめちゃバカにされちゃったよ私!
酷くない!?ねぇそれって酷くない!?



廊下を通った可愛い後輩マサキ君に目で訴えたけど、目で「頑張れ」って返された。
心が通じ合うってスバラシイね!
じゃなくて、助けろよオイ!!










結局放課後になってしまった。
結局言いたかったことは言えていないまま。
私は一人教室で突っ伏している。
え、机はもちろん翼のですが何か?



「はぁー・・・。なぁんで分かってくれないかなぁ。翼にとってはこの日どうでも良いのかなぁー。」




あ、ヤバイ。
何か乙女になってきた。
泣きそう・・・・。



「ちょっと、いつまでそうしてる訳?」
「およ?」
「意味分かんない言葉発してないで、早く帰る用意しなよ。」
「あ、あれ。フットサルは?」
が放課後一緒に帰りたいって言ったんだろ。」


横を向いた翼の顔がちょっと赤く見えたのは、夕日のせいだけじゃないはず。


「え、ほ、本当に翼さん?実はそっくりさん?どこかにカメラ回ってる?ドッキリとかやってる?」
「そんなに殴られたい?」
「すいません嘘ですゴメンなさい。」


私は慌てて鞄を取りに行く。
って言ってもさっきまで私がいた翼の机から2列横斜めの私の席に、だけど。


「お、お待たせしましたです!」
「ほら、帰るよ。」
「うん!!」












校門を出たとき、翼が私に聞いた。



「で、どこに行きたい訳?」
「にょ?」
「にょ、じゃないよ。今日どこか行きたい所あったんだろ。」
「な、何故それを!?もしや翼さんエスパー!?」
「いや、普通分かるし。」



えぇ、単 だと言いたいんですね。よく分かります目が物語ってる。




「ちょっとぐらいなら奢るけど?」
「どこでも!?」
「え、まぁ・・・。」
「マジですか!じゃあ焼き肉!痛っ。」


またしても翼に殴られた。


「値段と の胃袋考えろ。俺を破綻させる気?」
「ど、どこでもって言ったくせに・・・・。」
「それはそれこれはこれ。」


それはどれですか・・・。






「えっとね、じゃあ・・・・・公園。」
「分かったよ。」















公園なんていっぱいあるけど、私が言う公園は1つ。
私と翼の思い出の場所。



「遊具、減ったね。」
「ここも古くなってきたしね。」
「何か寂しいなぁ〜・・・。」


私はブランコに座った。
このブランコもずいぶん錆びている。
また、撤去されるんだろうな・・・。



「去年の今日、ここだよね。私と翼が付き合いだした日。」
「・・・・。」



翼は何も言わなかった。



「つば・・」


振り向いて翼を見上げようとしたけど、「翼」って言おうとしたけど。
それは最後まで出来なかった。
なぜなら私の唇は翼の唇でふさがれていたから。




ほんの一瞬の。触れるだけのキス。










「つ、つ、つ、翼ーーーーっっっ!!!」
「何だよ?」
「不意打ち禁止!!」


私の顔は漫画みたいに一瞬で赤くなった。
思わず唇に手を当てる。
熱があるみたいにドキドキした。


翼はというと、してやったりって顔。


悔しいから、私もキスしてやった。





バカバカ翼。大好きだ。








2007.6.2

サイト1周年記念作品です。
なにやらヒロインが暴走しておりますが・・・きっと書いていたその時の私は
よほどテンション低かったのでしょう。
ギャグ目指したいのにギャグになりきれていない中途半端な作品ですみません。
これからもどうぞ結城夾とMyHPを宜しくお願いします。
それではここまで読んでくださった 様ありがとうございました!!